21時45分
人がまばらになった東京駅に、
紅色とクリーム色に塗られた285系寝台電車が静かにホームに止まっている。
寝台特急に乗る時のこの少しの不安と高揚感は何回乗っても変わらない。
この列車に乗れば明日の早朝には東京から遥か離れた場所にたどり着く。
今回は一応コロナウイルスの影響も鑑み、奮発してソロを予約。
個室ソロは多少圧迫感は感じるものの完全にプライバシーが確保された空間、
思わずニヤリと頬が緩む。
22時ちょうど
列車は音もなく動き出す。
そしてあのおなじみの音楽から車内放送が始まり、
静かで落ち着いた車掌の声が心地よく耳に入ってくる。
もう戻ることはできない。
何とも言えない高揚感を覚える。
やはり深夜の誰もいない駅を通過している光景は、
楽しくて眺めていても全く飽きない。
そして、、、ワクワクして全然寝れない。マジで寝れない。
少し焦りつつも電車のジョイント音が子守歌に、知らぬ間に眠りについていた。
6時5分前
スマホの振動、、、、、、、、、、、より目が覚めた。
あと30分後には岡山駅に着く。
朝の30分はあっという間、ここでおりそびれると九州1周が四国1周に代わってしまう。(それも悪くないが)
ひんやりと肌寒い岡山駅でサンライズを見送り、この後は新幹線で小倉へ行き、九州へ上陸する。
新幹線内で家から持ってきたおにぎりを頬張りながら今日のルートを詳しく考える。
結構突発的に思いつき飛び出してしまった九州1周。
とりあえずの大まかなルートしか決めてない。
さて、今日はどこへ向かおうか。。。
小倉につくと意外にも冷え込んでいて、上にモンベルのレインウェアだけでは少し肌寒い。
九州は暖かいというイメージがあったが、北九州は違うようだ。
てか寒い。普通に寒い。
指先の感覚が少なくなってくる。
3月15日 午前8時00分
遂に人生初の長期ツーリング、九州一周スタート!!!
輪行解除をサクッと行い、いざ出発だ。
そう、、、、、、これから人生初めての長期ツーリングが始まる。
今回の行き先は、
「九州」のすべて!!
1か月ほどかけて九州を1周してこようと思う。
九州には一体どんな景色、食事、名湯が待っているのだろう。
天気は時折太陽が覗かせる、曇り時々晴れと蒸し暑い。
太陽が昇るにつれ、すっかり汗をかいてしまうほどの気温だ。
小倉市内を出るとすぐに埼玉の飯能を思わせるそこそこ交通量はある田舎道になる。
2.30分ほど走ると、
平尾台へのヒルクライムが始まる。。。。
竹林の間を走り抜け、
しばらく上るとカルストらしき地形が、、、
四国カルストと比べてしまうとこんなに簡単にカルスト地形が味わえるとは思いもしなかった。
四国カルストは松山市街地から80㎞近く離れてるし峠も1つ超えないといけない()
頂上らしき場所に到達すると、登山道らしき場所あり隣の駐車場に自転車を止める。
カルストを体験するためミニ登山をすることに。
やはりこのようにちょっと登山、観光と気軽に歩くことができるのはspdシューズの利点。
「気持ちいぃぃぃぃーーーー!!!」
花々もいい感じに咲き、最高の天気だ
と思っていたが上にのぼるにつれ風が強くなり服がバタつく。
風が強いが、天候は晴れで眺めもいい。
かなりのトレイルランナーがいて、さぞ気持ちいいのだろう。
登山客の方に平尾台のお手頃ルートはないか尋ね、少し談笑。
この平尾台意外にも5,6時間あれば周りの山まで回れてしまうようだ。
今度この場所を訪れたときは登山靴を持ってこようと思う。
結局頂上などいい感じの折り返し地点も見当たらず、ぶらぶらあたりを歩き回りカルスト地形を堪能。
ほどほどにして千仏鍾乳洞へ行くため降りることに、
知らぬ間に1時間半以上過ぎていて少々焦った。
そしてかなり分かりづらい脇道へ入り千仏鍾乳洞へ
あーーー、ひたすら気持ちいい。。。
カルストの間を縫うように走っていく。
駐車場から鍾乳洞まで意外と距離があり地味にしんどい。
いざ千仏鍾乳洞へ!!!
ヘッドライトも持ち、
目指せ最深部!
で、でかい。。。
途中から水につかっていて必ず濡れてしまう造り。
最初は超絶冷たい水もしばらく経つと慣れてきた。
そしていよいよ照明がなくなるところまで来た。
照明がなくなってからすぐにあった地獄くぐり。
想像以上に低く、全身を濡らさないと入れなさそうだ。。。
苦渋の決断だがここは断念してまた今度の機会に、、、
下着までびしょびしょは嫌だからね(超言い訳)。
冒険心のくすぐられるとても楽しい鍾乳洞だった。
今度は絶対に終点まで行くことを心に決める。
外は3月中旬だがぽかぽか陽気でとても過ごしやすい。
風鈴の音を聞きながら蒸しまんじゅうを食べ木陰で少し一休みし、
鍾乳洞を後にする。
その後またまた気持ちいいダウンヒルだ。
んんん~気もぢいいいいい!!!
カルスト、気持ちよすぎる。
はっきり言って最高である。
ここは日本だよね?
と思うような道を走り抜けていく。
旅初日にして最高の気分だ。
しかしすぐに普通に山道になってしまった。
カルスト意外と小さい。。。
つづら折りと段差舗装に苦しみながら中津方面へ一気に駆け抜ける。
そう!!中津と言ったら唐揚げ!!
早速本場の中津唐揚げをいただくとしよう。
衣もサクサク、お肉はジューシとシンプルでとても美味しい。
汗を書いたあとにこの塩っけがたまらない。
こんなに美味しい唐揚げがあるなんて知らなかった。
一瞬で食べ終わってしまい次の目的地へ。
中津から宇佐までの20㎞をのんびりと1時間近くかけて行き、宇佐神宮へ。
やはり日没間近とあって観光客もほぼ居ない。
う、美しい。。。。
綺麗に真っ赤に染まった本殿が輝いて見える。
神主の方にお聞きしたところそれぞれの御殿とご神体が祀られ、お参りするのに意味が異なり、戦い、交通安全、恋愛成就安産と別れているらしい。
参拝後はあたりを散策することに。
それにしても静かな境内だ。
人のいない神社、、、哀愁が漂っていてとてもエモーショナル。
シャッターが止まらない。
自分の歩く音と木々を抜ける風の音しかしない。
なんだか少し寂しいが、癖になる大好きなこの感覚。
しかし写真を撮っているといつの間にか日は落ちかけポツリポツリと雨が降ってきた。
さすがに初日から雨に濡れたくはない。
近くの唐揚げ屋に唐揚げを食べて雨宿りをすることに、、
今夜泊まるにはよさげな公園にあたりをつけていたが、さてどうしたものか。。。。
店主の方としばらく談笑していると、
僕「まだ泊まるとこ決まってなんですよ~」
店主の方「閉店後のお店使う?」
僕「!?!?!?」
なんと「お店の中で泊まってもいいよ!」とのこと。
そんなことある!?
しかし優しすぎる。。。。。
店主の方が輝いて見える。。。
感謝の言葉を告げ、
本日はそのご厚意に甘えさせていただくことに。
お陰様で雨にも濡れず無事に夜を過ごすことができた。
本当にありがとうございます!!!!!
つづく。
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